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Channel: 洋食『マーシュ亭』
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調理道具と食文化

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人間が他の動物と違う最たる部分は『火』を使うことです。
狩りや漁、又は採集した食材を火で炙ったりして食べたワケですな。
焼くことにより食べやすく保存性も高め、衛生面にも効果がありました。
大昔の人間はフライパンも鍋もありませんから、串に刺して直接炙るか、真っ赤に焼いた石の上に食材を乗せてソテーしたと想像できます。
そのうちに『土器』が発明されると液体を沸かす事が出来るようになりました。
ポシェ(茹でる)やブレゼ(蒸し煮)、ラグー(煮込み)が出来るようになります。
『かまど』がないうちは焼けた小石を液体に放り込んで沸かしたんだと思います。
まあ、今考えれば気の遠くなるような作業ですな。
火を起こすのだって大変だったでしょ
う。
チャッカマンもないんだから。

冷蔵庫が発明される前には肉を常温で吊るして保存していました。
当然のことながら肉は表面からバクテリアによる腐敗が始まります。
屠殺したばかりの肉は、それが例え家畜であっても固くて食べられません。
『熟成』が必要になります。
この熟成ですが、じつは諸刃の剱なんですな。
美味しさと安全は反比例するワケです。
昔の人は考えました。
それが『ブランシール』とゆうテクニックです。
熟成して表面がベタベタした肉を焼く前に一度熱湯で茹でちゃおう♪ってなワケです。
肉の表面を直火またはフライパンで焼くと血液や肉汁は肉の内部に向かっていきます。
つまり腐敗した肉汁や悪臭も内部に残るワケでございます。
しかしながらブランシール、ポシェ等のように熱湯で茹でると浸透圧も作用して肉汁は外に流れ出すワケですな。
昔の料理人は経験から知っていたワケです。
その他にも『塩漬け』や『乾燥』『燻製』、ハーブやスパイス、アルコールやオイルによる『マリネ』等のテクニックを用いて食材を美味しく安全に、そして無駄なく調理をしていたワケです。

さて、現代社会に生きる我々ですが、世の中の流れは正に『日進月歩』でございますな。
私の様な時代遅れのアナログヲヤヂには大変な世の中でございます。
スマートフォンなんか全然分からないし(泣)

料理の世界も同じですな。
新しい道具がドンドン発明されています。
まあ、殆どが糞の役にも立たないインチキ商品ばかりですがね。
しかしながら我々プロ用の調理道具や機械は思わず『スゲッ!』と唸ってしまうものも少なくないですな。
時代と共に料理は変わっていくものでございます。
それは当たり前田日明。
でもね、以前にも話しました様にヤパシ私は危惧してしまうのですよ。
『便利さと美味しさは比例するワケではない。』
と思うのです、ハイ。
時代が変わって、世の中が便利になればなるほど人間はアナログなものに郷愁を感じたり感動したりする気がします。
料理人は職人であり芸人でなければならない!と、つくづく感じる今日この頃でございます。
人間が必要と感じるから道具は発明されます。
しかしながら、最近は道具が先行して、それに人間があわせなければ生きていけないですな。
何のための道具なのか?
人間が一生の間に出来ることなんかたかが知れています。
あまりにも世界が縮まり過ぎた様な気もしますな。
悪いことばかりじゃありません。
しかしながら、目に見えないからこそ想像したり夢を見たりできることもあるのではないですかね?
ですから、せめて料理の世界位は『人間っぼさ』を残しておきたいですな。
勘違いをしている人が多いですが、鍋や調理道具やテクニックは食文化ではありません。あくまでも道具でございます。
食文化とは人間が料理を通して感じる『心』や『人との繋がり』のことを言うのでございます。

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ってなワケで、またね♪

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