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Channel: 洋食『マーシュ亭』
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記憶の再現

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『戦前の沢村が投げるボールは凄まじかった!間違いなく百マイル以上のスピードが出ていたよ!』

古い野球選手や野球ファンは言います。
本当かどうかは分かりません。
当時のことを知っている方々の記憶でしかありません。
我々の常識から考えたら『まさか!あり得ない!』と言うしかない。
伝説ってのは誇張されるもんですから。
虚構も少なくない。


料理は記録に残せません。
消え物です。
食べた人の記憶にしか残らない。
沢村の話と同じで誇張もあれば虚構もある。
アタシが小僧の頃から、今も現役で素晴らしい料理を作り続けているシェフがいます。
還暦を過ぎても朝から晩までストーブの前で闘っているシェフ達。
人から聞いた話ですが、東京の北島亭のシェフが『最近やっと美味しいキッシュロレーヌが作れるようになったよ!』と話していたそうです。
還暦をとうに過ぎた大先輩の言の葉。
アタシは聞いて涙が出ましたよ。

若いシェフが新しい?(と信じている)料理を、変な道具や材料を使って作る。
それを技術と勘違いして。
それをメディアが持ち上げる。
技術とは磨き抜かれた『技(わざ)』のことであると思います。
最近は意味が変わってきたのかな?

アタシ達世代は、戦前から料理を作っていた素晴らしいシェフ達から直接手ほどきを受けた世代でもあります。
アタシの記憶ですが、そのシェフが作ってくれた料理は本当に美味しかった。
今でも鮮明に覚えています。
でも証明は出来ません。
『昔の料理は重い!』
『古い料理は素材を活かしていない!』
『ソースは要らない』
そんなセリフを聞くたびにガッカリします。
原体験の無い若い方々に伝えようが無い。
方法は1つ。
自分で再現するしかない。

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でも再現しきれない自分の技術の低さに腹が立ちます。
まだまだハナタレコゾウ…。

1つの料理を何度も何度も繰り返して、極めていくのも料理人の、職人の生き方の1つだと思います。
それを共感して下さるお客様がいれば嬉しいです。

イメージ 2


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