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Channel: 洋食『マーシュ亭』
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料理とゆう仕事

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朝起きてから仕事が終わって寝るまでの行動には一定の決まりを持っています。
特に時間には厳しいです。
アタシはいい加減な人間の代表取締役みたいな男です。
ダメ人間ですな(笑)
それでも自分の中のルールはあります。
ルールと言うより『生活のパターンにイレギュラーを介在させたくない』ってのが本音です。
厨房も同じで、全ての事柄が常に一定のルール通りでないとイライラします。
時間もそうですが、包丁やまな板の位置。
鍋の置き方。
フキンの畳み方。
タワシや洗剤の位置。
とにかく少しでも違うとダメなんです。
イレギュラーが気になる。
朝に飲むコーヒーや歯ブラシの種類。
風呂で身体を洗う順番まで同じじゃないと嫌なんです。
洗濯するときも干すときにも決まりがあるの。
意外かも知れませんが、アタシはとても面倒臭い男です。
だから他人が厨房に入ってくるのが堪らなく嫌い。
手伝って欲しくないの。
邪魔なだけ。
イライラしちゃうんですよ。

理由は簡単。
アタシは頭が悪いから(笑)
本当です、ハイ。
30年やってきても、未だに毎日が不安なんです。
ってか、その不安は年々強くなります。
何故ならば経験の蓄積が増えるから。

レストランの仕事は毎日がハプニングの連続です。
何が起こるか分からない。
お客様も毎日ちがいます。
料理だって何が出るか分からない。
食材も同じ。
常に変化を求められます。
仕事自体が安定とは無縁なんですよ。
どれほどメソッドを持っていても安心出来ないの。
お客様から無茶な注文だって受けたりします。
全て断るわけにもいかない。
出来る限り対応したい。
料理人の仕事ってのはライブてあり瞬間です。
一皿でお客様を納得させなきゃならないし、一度裏切ったら挽回は不可能なんですよ。
だからこそ様々なパターンを想定して準備も念入りにやります。
それでもハプニングは常にある。
将棋と一緒で何十万通りの『手』があるわけでして。
ハードな部分もソフトな部分も自分が持っている戦力は決まっています。
毎日の仕事が完全にキャパを大幅に越えていますから。
それでも失敗は許されない。
モツロン無傷はあり得ませんけれど致命傷だけは避けなければなりません。
常に応用力や対応力が求められます。
たかが料理屋なんですが、やっている本人は本気ですから。
必死なんですよ、マヂで。

そんな仕事ですから、それ以外の事はなるべく考えたくないのが本音です。
ですから普段の生活にイレギュラーを介在させたくないのですよ。
毎日の舞台本番までは出来る限りスムーズにやりたいの。
アタシが取材を断ったり、営業時間外の訪問者や営業マンに冷たいのはそんな理由なんです。
ごめんなさい。
余裕が無いんです。

一人でやっていますから全ての事柄に自分が介在しております。
それこそ細かな部分も。
調子が悪いから誰かに代わってもらうってワケにもいきません。
それは仕方がないですね。
自分で決めたこと。

最近ですが何人かの若い人から弟子入りを頼まれました。
モツロン丁重にお断りしましたよ。
お互いのためにやめましょうってね(笑)
申し訳ないが教える余裕が無い。
しかも昨今の風潮だとアタシなんざ直ぐに告訴されちゃうもの(笑)
教えるような立場の料理人ではないし、まだまだ修行中の身ですが、本音は誰かに教えてあげたい気持ちはあります。
継承したい気持ち。
もしかしたらアタシだからこそ教えてあげられる料理や技術、メソッドがあるかもしれません。

料理人の仕事は手仕事です。
昔から変わらない。
経験が必要です。
機械やコンピューターの様に正確な間違いの無い仕事は出来ないかも知れません。
ってかブレもズレもあります。
でも先程述べた様に、レストランの仕事はライブであり瞬間です。
ハプニングが当たり前。
それに対応するのは人の手しかないと思います。
そのブレやズレや誤差を許容できるお客様、ライブの楽しみを知っているお客様がレストランで楽しめるんだと思います。
ガチガチのミスの無い仕事を求めるならばアタシ達のような手仕事の店はやめた方が良いです。
言い訳に聞こえるかも知れませんが、お客様にも舞台の役者を演じてもらいたいの。
その夜、偶然にも、奇跡に近い偶然にも一緒のレストランで過ごすことになった他のお客様達と一緒にライブを楽しんでもらえたら嬉しいです。
トラブルがあったら文句を言っても良いです。
叱って下さっても良いです。
だけれど、そこに人の生き方としての『芸』と言いますか『粋』と言いますか、他のお客様を楽しませる余裕が欲しいです。
それは若い方々には難しいですね。
大人力が身に付かないと楽しめない。

料理とゆう仕事。
その本質は何?
簡単には出ませんね。
以前にも話しましたが料理人は『芸』だと思っております。
アタシの店は大衆飯屋ですから『大衆芸』とでも言いますか(笑)
庶民のささやかな娯楽であり、普段の生活の『糧』でもあります。
落語と違うのは扱う芸が『食べ物』であるってこと。
食べ物ですから遊びじゃありません。
生きる糧です。
それでも芸と呼ばせる為には家庭料理とは違う、一般の方々には絶対に真似が出来ない仕事をみせなきゃ芸人じゃない。

料理の世界もどんどん新しい技術?が入ってきました。
機械化が進み、ワケの分からん料理も沢山あります。
長い長い料理の歴史があります。
沢山のレストランもあります。
でね、みんな行き詰まっているんですよ。
例えるならば石油や金の発掘みたいな事をやっているの。
誰も埋蔵量が分からない。
まだ何かあるんじゃないか?みたいな(笑)
一攫千金を狙ってね。
アタシは何も無いと思うよ、マヂで。
ってか意味がない。
下手したら『宝島』や『徳川の埋蔵金』みたいな眉唾も出てくるしまつ(笑)
んなことより、自分の手の届く範疇で芸を磨いた方が良いですよ。
千年前も現代人も、人間としての能力や動物としての機能は大して変わってないんだから(笑)



ってなワケで、日曜日の朝、ヲサーンのツマラン独り言でした。

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