ポークカツレツ。
まあ、いわゆるトンカツでございます。
日本人、特に男性は揚物が好きです。
ワタクシも揚物は大好物でございます。
豚ロースを1本仕入れます。
ロングロインと言います。
肩ロースから鞍下の部分まであります。
約5キログラム。
当然ながら場所によって味わいや固さも変わります。
うちはソテー用と揚物用に別けてます。
板が広くてカブリが付いている肩ロースはソテーに。
赤身の多いロースはカツレツにします。
カツレツ用でも、細かく言えば場所によって違うんです。
正直に言いまして本当にムマイと思う部分は僅かです。
他の肉も同様ですが。
豚は仕入れると先ずは塩漬けにします。
塩分は少ないです。
肉が柔らかくなると言うよりも『歯切れ』が良くなります。
その他にもムマイカツレツを作るには色々工夫があります。
どんな職人も同じでしょう。
料理人は『芸人』でもあると考えます。
お客様を喜ばせてなんぼです。
自分が楽しいのは良いことですが、先ずはお客様。
当然ながらお客様は職人ではありません。
専門家ではない。
中には『自称専門家』みたいな人もいますがね。
放っときゃ良いこと。
色んな店をチョコチョコ食べに行っても絶対に職人には敵いません。
これだけは言えますな。
毎日火の前で格闘しなけりゃ理解出来ない事が沢山あります。
豚肉の話も同じで、部位によって変わる『差』をどれだけ最小限に抑えるか?
繁盛時に数をこなさなければならない場合でも、どれだけ誤差を少なくするか?
これが職人の仕事の醍醐味です。
昔の料理長や先輩方は恐ろしかった。
でも、憧れの存在でもあった。
今と違って給金も全然違う。
色んな意味で憧れていた。
今は新入社員も先輩も、下手したら料理長も給金に大した差がありません。
仕事を覚えても物理的には大した得は無い。
また、昔のように閉鎖的な社会ではなくなったし。
良いことではありますが、職人としてはどーなのか?
履歴を増やし、ステイタスを上げて、キャッチーでインパクトがある人がチヤホヤされますな。
また、若い人達の憧れは、職人の技術よりもそちら側に向いてますからね。
やりにくい世の中です。
料理なんて簡単です。
作り方なんて簡単に手に入ります。
また、どれだけ拘っても相手側に『理解しようとする気持ち』がなければ猫に小判。
もっと分かりやすいインパクトの方が注目されるしビジネスにもなりますからね。
そんな世の中ですが、ってかだからこそ我々は『芸』を磨く必要があると思ったりします。
見た目は大した差はありません。
でも違うんです。
上岡龍太郎がテレビについて話しておりました。
『テレビは素人芸がウケる』
なるほど。
今日もムマイカツレツを揚げます🎵
今夜は『チキンガーリック』やります。