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Channel: 洋食『マーシュ亭』
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バアちゃんの手

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昨夜はヘトヘトに疲れていましてね。
週末のご挨拶もせずに失礼しました。
お陰さまで、連休明けも毎日沢山のお客様が来店して下さいました。
ただただ感謝でございます。
今日も朝からシコシコ働かせてもらってます。
有り難い有り難い…。

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年齢を重ねていくと、世の中の仕組みが少しずつわかってきます。
若いときにはわからなかった。
夏にピンと背伸びをした稲穂が、収穫の時期になると自然に頭を垂れるように、年齢を重ねていくうちに人は謙虚になる。
テメエ一人じゃ何も出来ない自分に気が付く。
全ては『お陰さま』なんだと気が付く。
生きていくってことは『感謝する』ってこと。
料理から学ぶことは多いです。
ましてオーナーシェフになると尚更学ぶ事が多い。
有り難いです。


アタシはバアちゃんっ子でね。
父方の祖母。
『スミ』って名前なんですがね。
モチロンとうの昔に亡くなりました。
そのバアちゃんが大好きでした。
アタシが小さな頃には、バアちゃんも同居していましたが、色々大人の事情があったんでしょう。
東京の拝島ってゆう町で独り暮らしをしていましたよ。
アタシはしょっちゅう遊びに行ってました。
アパートなんですが、風呂場は外にあるの。
裏庭に小さな菜園がありまして、夏には茄子やキュウリ、トマトなんかも育てていましたよ。
夏の暑い日には、アタシの大好きな冷や麦を茹でてくれてね。
トマトやキュウリを綺麗に飾ってくれて。
ムマかったなぁ♪
信心深い人でした。
浄土真宗でしたね。
お西?お東?
忘れちゃった(笑)
親戚が富山に沢山いましたからね。
浄土真宗なのは必然だったのかな。

腰が『くの字』に曲がっていてね。
聞いた話だと若い頃から病気で曲がっていたそうです。
曲がった腰でアタシの父親を含め三人の子供を必死に育て上げたんだからね。
当然ながら戦争中です。
すごいことです。

バアちゃんはアタシに戦争中の話はあまりしなかった。
ただね、いつもアタシに言っていた言葉は『有難うを忘れちゃダメだよ』でした。
自分で言うのもなんですが、バアちゃんはアタシを溺愛していましたね。
他の孫も沢山いましたが、とにかくアタシを溺愛していたと思います。
そこら辺がアタシの母親との確執の原因だったのかな(笑)
詳しくは知りませんが。
バアちゃんはアパートで黒猫を飼っていましてね。
『マコ』って名前をつけていました。
実はアタシもバアちゃんから『マコちゃん』と呼ばれていたの(笑)
だから猫を呼んでいるのか、アタシを呼んでいるのかわからなかったよ(笑)

バアちゃんはいつもシワクチャな手でアタシの頭を撫でてくれました。
ニコニコしながら撫でてくれた。
アタシはバアちゃんのシワクチャな手が大好きでした。
バアちゃんの手の甲をつまんで引っ張ると皮が暫く戻らないの。
それが不思議でね。
『バアちゃんの手はなんでシワシワなんだ?』
『いっぱい働いたからね。お肉が無くなっちゃったの(笑)』
『ふーん…』
『その分、みんなが元気で育ってくれたからね。バアちゃんは嬉しいの♪』

綺麗な服を着て、贅沢な飯を食って、平気で何でも無駄にして…。
みんなが勘違いをしているような気がするよ。


バアちゃん、今日も元気で頑張ります!

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