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Channel: 洋食『マーシュ亭』
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ルール

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先週も沢山のご来店に感謝。
本日もガッツリ仕込んで、明日からの営業に備えます。
明日のディナーで『牡蠣とホウレン草のグラタン』をやる予定です。
寒い夜にはもってこいの料理だと思います。

お客様から頂戴した空母『加賀』

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艦載機が飛んでいます♪
ご自分で作られたようです。
有り難い…

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大切にいたします。

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さて、お客様から『前菜なども作ってほしい』と言われます。
普段から使って下さるお客様の声は大切にしなければバチがあたる(笑)
しかしながら、今は前菜もデザートも、サラダやスープさえやるつもりはございません。
サラダは頼まれれば作ったりしますが。
簡単なリーフサラダぐらいですがね。
マーシュ亭のメニューに載せる料理には決まり事があります。
一、一品で満足出来る量目であること。
一、ご飯のおかずであること。
一、(肉や魚料理ならば)三角食いが出来ること。
一、出来る限り、普段の生活のサイクルで頻繁に食べに来れる料金であること。
一、出来る限りお待たせせずに提供出来ること。
一、そして、自分が本当にムマイと思える料理であること。

これがマーシュ亭のレギュラーメニューになるためのルールです。
この条件に満たない料理は、それがたとえムマイ料理であってもレギュラーにはなれません。

イヤね、ルールも決まり事も無視して、ただの『腕自慢』をしたいだけならば、いくらでも作れますよ。
アタシもプロだから。
見た目に美しく、繊細で、上品で…。
これでもか!ぐらいに手の込んだ(ように見える)フランス料理の前菜。
今ならばムマイ食材も沢山あります。
キノコのフランに牡蠣を合わせてカプチーノ仕立てにしたらさぞかしムマイと思う。
野菜のプレッセ、パテアンクルート、フォアグラ、雲丹のジュレ、オマールの温かいサラダ…キリがない。
デザートも然り。
タルトやミルフィーユ。
ガトーショコラ、ウフアラネージュ、クレープシュゼット、フラン。

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しかし作りません。
キッシュやパテさえ封印しています。
何故ならば『マーシュ亭の料理としては意味がないから』です。
お客様の中には先ず気の効いた前菜を食べながらゆっくりと酒を飲み、暫くしたら肉や魚を食べて、もしかしたら小さなハヤシライスやカレーで小腹を満たし、デザートを食べながらコーヒーで〆る。
確かに楽しいです。
そーゆー食事の楽しみ方もある。
でもそれはマーシュ亭の使い方ではありません。
店をオープンした時に決めた事とは違うものになります。
また、それなりの料金をいただかなければ経営も成り立たない。
今、マーシュ亭を利用して下さる多くのお客様は、何を求めて来店されているのか?
アタシの個人的なプライドや腕自慢で料理を作れば、その大多数のお客様は来なくなるでしょう。
コンセプトそのものを変えなければならないです。
もしもそーゆー料理を作るならば店の屋号から変えます。
だから『今は作らない』です。
いつの日か作るようになるかもしれませんが、今は作らない。
レストランはお客様の為にある。
世の中には仁義やルールがある。
自分の欲求を満たすだけの仕事をするつもりはありません。
もしも大多数のお客様から希望があれば、その時初めて作ります。
多分無いと思いますが(笑)
そーゆーレストランは石を投げれば当たるぐらいに沢山ありますから。
それがムマイ店か?どうか?は知りませんがね…。
でも、今アタシがやっているマーシュ亭の形は、アタシが知る限りありません。
見た目だけならばあるかもしれませんが。

うちの料理は見た目には普通の洋食ですが、その基礎となる部分にはフランス料理の技術や知恵がバッチリ盛り込まれています。
カツレツもハンバーグも。
ビーフシチューもグラタンも。
食材の下処理、ベース、焼き方、煮込み方、デミグラス。
全てがそうです。
ですからマーシュ亭の料理を簡単には真似出来ない!とゆう自負はある。
見た目ではなく、その本質の部分に誇りを持っておれば良いと思う。




アタシは徹底しています。
やるならやる!
やらないならば絶対にやらない!
この線引きは徹底します。
中途半端が大嫌いなんです。
お茶を濁すような仕事は、お客様にも、その料理を作り出した先人にも失礼になります。
現役でやっているグランシェフの料理を形だけコピーするのも好きではない。
やるにも資格ってのがある。

今、自分がおかれている状況で何かをやれば半端な仕事しか出来ません。
多くの若いシェフ達がそれをやっているように見えます。
そして自分にもお客様にも言い訳をする。
仕方がないってね。
そしてオリジナリティだの『個性』だのとゆう便利な言葉で誤魔化す。

出来もしない料理を無理して作るよりも、絶対に自信のあるものを極めた方が誠実だと思います。
無理をすれば嘘になる。
嘘で固めたレストランになる。
裏で何をしているかわからない…。
ラーメンでも良いし、スバゲッティでも良いと思います。
フランス料理に固執しなくても良い。
それよりも誠実に嘘のない仕事を精一杯やっている料理人が好きですね。
いつか力をつけてから、少しずつなりたい自分になれば良いのだから。


背伸びをすると中途半端な物しか出来ないんです。
アタシも長いこと背伸びをしていました。
お客様から誉められても何処かに後ろめたさを感じていた。
だから常に隠していました。
今は正々堂々と『これがうちの料理だ!』と胸を張れる。
それだけは言えます。
今出来ることを精一杯やっております。
自分が本気でムマイと思う料理しか作らない。
そしてそれをヨシとして下さるお客様に毎日支えられております。
毎日気持ちが晴れ晴れです。
なんの後ろめたさもない。

力が無いうちから重装備をしない方が良いと思うのは自分の経験からです。
潰されますよ。
その場を誤魔化しても、いつかは剥がされます。
それよりもツマラン厚化粧は無くした方が良いと思います。


今出来る仕事を誠実に。
それがマーシュ亭のルールでございます。

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