古いマンションなんかを借りるとき、何故か1つだけ家賃の安い物件を見つけたりします。
『とにかく駅に近くて安い部屋!』
『そー言われてもねぇ…。』
『そこを何とか頼むよ!』
『う~ん…、いや、あるにはあるんですよ…』
『え?あるの♪紹介してよ♪』
『いや、お客さんね、確かに安いんだけれど、あんましお薦め出来ないのよ…』
『何で?』
『入居者がみんな1ヶ月で出ていくの…』
『どーゆーこと?』
『お客さん…実は大きな声じゃ言えないけれど…』
『……』
と、まぁ、ありがちな話ですな。
真実は分からんけれど(笑)
マーシュ亭の建物も築数十年っつー、カナーリ年期の入った物件です。
今朝も一人でシコシコ仕事をしていますと、妙な胸騒ぎを感じたりします。
自慢じゃないけれど、アタシャ未だに夜中にシャンプーをしているとき、恐くて目を閉じれないヲサーンです、ハイ。
今日も11時ぐらいか?
ドリアに使うチキンライスをヘコヘコ炒めてたの。
でさ、なんか人の気配を感じたんだよね。
一番角のテーブルで…。
気になってチラッと覗くと、人影が見えたの。
椅子に座ってじーっとアタシを見ている…。
イヤハヤ、ビックリして声も出ない。
年は七十代ぐらいか?
ボウズ頭で軍服らしきものをお召しになっていたよ、ってかマヂで。
アタシャ恐ろしくて心の中で
『ナンマンダブ、ナンマンダブ、ナンマンダブ…』
必死にとなえました。
あっ、実家が浄土真宗なんで♪
ってかどーでもいいけど。
そのご老人がアタシを見ながら言ったよ…
『海軍カレー…』
そりゃそーだ。
そりゃそーだよ。
このシチュエーションでハンバーグやナポリタン、ミックスフライは有り得ません。
オムライスだったらどーすりゃ良いのか?
アタシャ恐る恐る言ったよ…
『すんません…今日は出来ません…』
『何が出来るんだ?』
『あっ!チキンライスならすぐにご用意出来るんでツけど…ん?』
何だかおかしい?
暗闇に慣れくるとご老人の姿がハッキリしてきました。
軍服じゃなくて、軍服みたいな色のポロシャツ。
胸には緑色のワニが見えます。
『今日はやってないのか?』
聞くと、カレーのムマそうな匂いに誘われてきたらしいです。
イヤハヤ、なんとも…。
散歩の途中だとか。
まぁ、有り難いですがね(笑)
ショップカードを渡してお帰り願ったよ。
近いうちにご来店されるみたいです。
いやー、たまげたわ…。