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Channel: 洋食『マーシュ亭』
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エース…

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えー、今日はってか、今日もツマラナイ記事なので面倒臭いからスルーしちゃって下さいな。

ポークカツレツには思い出がありまして。
まだ19か20才ぐらいだったか?
当時のレストランは営業中の仕込みを一切許してくれなかったの。
お客様に集中しなくなるから!ってのが理由だったんだけれど、実際は忙しくて仕込みをする時間なんてなかった。
深夜まで営業していたから、その後次の日の仕込みや掃除をすると終わるのが明け方だったんだよね。
小僧のうちは毎日がそんな感じ。
風呂無し、共同トイレ、四畳半のキタネーアパートを店の近くに借りていたんだけど。
風呂屋が終わっているからさ。
毎日コインシャワーで身体を洗っていました。
そんな毎日だったんだけれど、別に苦しいなんて感じなかった。
でもね、ある日、次の日のランチを仕込んでいたのよ。
それがポークカツレツ。
暫く忙しくて睡眠不足だったんだよね。
そんな中、ポークカツレツを百人前、一人でシコシコパン粉をつけていたの。
やっと全て終わらせて帰ったのが朝方(笑)
その店は基本年中無休でね。
アタシも毎週休みがあったんだけれど。
当然ながら休みの日にも仕事をしていました。
とにかく厨房に居たかったの。
覚えたい仕事が沢山あったし、休みの日に仕事にいくと先輩達が普段はやらせてもらえない仕事をどんどん手伝わせてくれたのよ。
だから休みの日がステップアップ出来るチャンスだった。
でも、流石に疲れていたんだね。
アパートに着いたらいつの間にか寝ていました。
どのくらい寝たのか?
突然激しい痛みで起こされたの。
店の中で一番恐かった先輩がデミグラスを混ぜるのに使う大きなスパテラでアタシの顔をバッチンバッチン殴ってるわけ。

イメージ 1



『テメー!このバカヤローが!!』

アタシャ訳が分からなくて…。
当時はアパートに鍵なんてかけなかったし、先輩達もよく遊びに来ていたからね。
ランチが終わってからすっ飛んで来たみたいです。
とにかく謝ってるんだけど先輩は気が収まらないらしく、デカイスパテラで容赦なく殴り続けるんだよね。
イヤー、痛いっつーよりビックリしてさ。

暫く殴られていたんだけれど、そのうち先輩が
『店に来い!』
って言って出ていきましたよ。
訳がわからないまま、とにかく店まで走って行きました。
それで叱られた理由が分かりました…。

ご存じのように、カツレツってのはメリケン粉、玉子、パン粉の順に着けていくんだけれど、アタシャ寝ぼけていたのか、メリケン粉を着けるのを忘れていたんだね。
パン粉をまぶしてあるから揚げてみるまで分からない。
揚げたらパン粉がみんな剥がれちゃう。
ランチはサラリーマンの利用者が多くて。
昼には一斉に満席になります。
先輩は一気にカツレツを揚げていくんだけれど全部衣が剥がれちゃったみたい。
そりゃパニックだわな(笑)
お客様に詫びを入れてから急きょ違う料理を出してしのいだらしいです。
理由が分かったらさ、申し訳なくて情けなくて…。
皆さんに土下座して謝りましたよ。
更に叱られると覚悟していたら、先輩達がゲラゲラ笑うんだよね。
『お前、早く顔洗ってこいや』
便所に行って鏡を見たら、鼻血で真っ赤になった自分の顔がうつってました。
試合後のボクサーみたいに腫れ上がってね(笑)
その後どーなったかっつーと、どーにもなりません。
その話はオシマイ♪
みんな普通に仕事をしているし、アタシにも普通に接してくれます。
なんともアッケラカンなんですよ(笑)



今の時代にこんなことがあったら大変だよね。
下手したら訴訟問題です。
ってか、大体労働基準が無茶苦茶だし。
でもね、モツロン店によって違いはあるだろうけれど、そーゆー事は何処にでもあったんですよ。
誉められることじゃないし、真似しろとも言いませんがね。
じゃあ、そこに人同士の恨み辛みがあったのか?っつーと、そんなもんありません、ハイ。
やり方はどうあれ、間違って迷惑をかけたのはアタシなんですよ。
疲れているとか、そーゆーのは関係ないんです。
例え小僧であっても、プロの職場で給金貰って働いているわけ。
結果が全て。
殴られるぐらいで済むんなら有り難いもん。
殴ることが良いとは言わないけれどね。
昔からよく言うけれど
『そんぐらいじゃ死にゃしねーよ…』
って言いますな。
この『死にゃしねー』って判断基準は大切だと思うのよ。
色んな意味でね。
今の若い方々ってスマートだし頭も良いし、バランス感覚にも長けている。
でも無理しないよね。
ってかテメーの限界に対する基準が低いっつーか。
アタシも若い方々と話をしている時に『そんぐらいじゃ死にゃしねーよ』とよく言います。
半分冗談ですが、半分本気なんですよ。
よく『死ぬー死ぬー』って騒いでいる奴がいるけれど、絶対に死なないって(笑)
アタシ達の仕事って、世間一般の基準に合わせたら話にならないですから。
こーゆー事言うと、また叱られるけどさ。
ブラック企業?だっけ?
んなこと言ったら昔はレストランなんざ全部スペシャルブラック企業だかんね(笑)
いやね、良いとか悪いとかの話しじゃないの。
要はテメーが納得しているか?どーなのか?ってことよ。

我々の業界だけじゃないかも知れんけれど、若い奴等の不満の大半は上司や雇い主に対することだよね。
でね、アタシらの時と何が違うのかっつーと、先輩や料理長達に対する信頼や憧れが無くなってきている!っつーことなんじゃね?
つまり若い奴等からすりゃ尊敬出来る先輩がいないんだな。
先輩ってのは、なんで先輩かっつーと、仕事が出来るから先輩なのよ。
何をやっても敵わないから逆らえないし憧れるわけさ。
ましてや料理長やマネージャーってのは、そのチームの中の『圧倒的な絶対エース』じゃなきゃダメなんだよね。
これが正しいはず。
トップは何故トップなのか?
誰よりも仕事が出来て、誰よりも働くからトップでありエースなんですよ。
サッカーだって野球だってそーでしょ?
そんな当たり前の理屈を理解していないから若い奴等の不満が溜まるのさ。
頑張っても意味が無いからやる気も出ない。



つづく…

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